NINGEN INDEX人を通して、日本企業を知る。
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Assessment Methodology|2026年度版

評価方法

人への投資を、企業の説明から読み解く。

企業は、どのような人材を必要とし、その能力と意欲をどう育て、人への投資を事業成果につなげているのか。

NINGEN INDEXは、有価証券報告書に記載された人的資本の情報を、3つの軸・16項目、100点満点で評価します。

評価するのは、企業が開示した取り組みと、その説明です。企業の実際の人的資本の実力や、従業員一人ひとりの能力・意欲を直接測定するものではありません。

1. 評価に使う情報

評価対象は、EDINETに提出された日本語の有価証券報告書です。

対象年度・提出書類を特定し、本文、表、図、注記などに記載された情報を確認します。統合報告書、採用サイト、ニュースなど、有価証券報告書以外の情報で不足を補って加点することはありません。

また、数値の大きさだけでなく、その数値が「誰を対象に」「いつの期間について」「何を測ったものか」も確認します。

2. 3つの評価軸

① 開示ガバナンス|20点

人への取り組みを、明確に説明しているか。

従業員情報や多様性・働く環境の基礎指標に加え、人材戦略、責任体制、目標・実績を確認します。

制度や数値を掲載するだけでなく、経営戦略との関係や、指標の対象範囲・定義が読み取れるかに注目します。

① 開示ガバナンス|20点の評価項目と配点
項目配点
G1基礎定量情報の開示5点
G2ガバナンス・リスク管理5点
G3人材戦略と基本方針5点
G4指標・目標と説明の明確さ5点

開示ガバナンスの得点は、法令適合性を認定するものではありません。

② 人的無形資産|40点

成果を生む能力と意欲を、どう育て、支えているか。

人の力を「技術」「技能」「モチベーション」の3つから捉え、その蓄積と活用に関する開示を確認します。

この評価軸は、後述する「Can × Will」の考え方に基づいて構成しています。Canを技術と技能から、Willをモチベーションから捉えます。

技術|10点

事業に関わる知識、資格、専門性、ノウハウなどの「持っている力」。どのような専門人材がいて、その能力をどう獲得・蓄積しているかを確認します。

技術|10点の評価項目と配点
項目配点
T1技術の保有状況5点
T2技術の獲得・蓄積5点

技能|15点

持っている技術を実務で使う「使う力」。どの業務で使われ、どの程度の実務経験や適用があり、継続的に活用されているかを確認します。

技能|15点の評価項目と配点
項目配点
S1技術と実務の対応5点
S2使用・適用の量5点
S3継続活用・展開5点

モチベーション|15点

仕事で力を発揮し、成果に貢献しようとする意欲。それを支える仕組み、実際の運用、従業員の状態や変化に関する開示を確認します。

モチベーション|15点の評価項目と配点
項目配点
M1意欲を支える仕組み5点
M2仕組みの運用実績5点
M3従業員の状態・変化5点

研修を受けた人数を、そのまま能力を習得した人数とは扱いません。同様に、制度の存在や調査の回答率だけで、従業員の意欲が高いとは判断しません。

③ 人的投資フロー|40点

人への投資を、成果につなげて説明しているか。

人への投資が、どのような道筋で仕事や事業の成果につながるのか。その説明に加え、成果の大きさ、算出根拠、計画への活用、関係の検証を確認します。

③ 人的投資フロー|40点の評価項目と配点
項目配点
F1投資から成果への論理10点
F2成果の大きさ10点
F3算出根拠と計画への利用10点
F4関係の検証10点

成果は利益額だけに限定しません。生産性や業務時間の削減なども、人的施策との関係が説明されている範囲で確認します。

企業の業績が良いという事実だけで、人への投資の効果と判断することはありません。

3. 人的無形資産の評価を支える、Can × Will

Human Productivity ≈ Can × Will

成果を出せるか × 成果を出そうとしているか。

NINGEN INDEXは、この考え方を「②人的無形資産」の採点項目の設計に用いています。

Can・Willと評価項目の対応
概念対応する評価項目配点
Can:成果を出せる能力技術:「持っている力」10点
技能:「使う力」15点
Will:成果を出そうとする意欲モチベーション15点

Canを技術と技能から、Willをモチベーションから捉え、合計40点で評価します。

Can|成果を出せる能力

Can ≈ 技術 × 技能

知識・専門性・ノウハウなどを持っていることと、それらを実務で活かせること。この両面から、成果を出すための能力を捉えます。

NINGEN INDEXでは、技術の保有・獲得に関する開示と、実務での使用・継続活用に関する開示を分けて確認します。

Will|成果を出そうとする意欲

Willは、仕事、評価、報酬、機会、人間関係、健康、家庭、感情など、無数の要因から形成される状態です。

そのすべてを数値化することはできません。NINGEN INDEXでは、企業が開示する「意欲を支える仕組み」「仕組みの運用実績」「従業員の状態・変化」を、モチベーションの評価項目として確認します。

概念モデルと、得点の算出

人は完全には因数分解できません。C × Wの「×」は、能力と意欲の双方が人的生産力を左右することを表す概念モデルです。

実際の得点は掛け算ではなく、技術10点+技能15点+モチベーション15点を合計して算出します。

採点するのは、これらについて有価証券報告書で説明されている内容です。従業員一人ひとりのCanやWillそのものを直接測定するものではありません。

4. 学術的知見を、二つの問いへ

この考え方の背景には、経済学、産業・組織心理学、モチベーション研究、人的資源管理など、複数の学術領域の知見があります。

人的資本理論|Gary Becker教育や訓練など、人への投資を人的資本として捉える考え方です。

職務パフォーマンスモデル|John P. Campbell知識・技能・モチベーションから職務パフォーマンスを捉えるモデルです。

期待理論|Victor Vroom努力・成果・報酬への期待から、人が努力し、成果を出そうとする理由を説明する理論です。

自己決定理論|Edward L. Deci / Richard M. Ryan自律性・有能感・関係性の観点から、動機づけの質と、それを支える条件を捉える理論です。

AMOフレームワーク|Ability・Motivation・Opportunity能力・意欲・貢献する機会の観点から、従業員パフォーマンスを捉える枠組みです。

NINGEN INDEXは、一つの理論だけを採用するのではなく、異なる視点に共通する本質を、従業員側から見た二つの問いとして整理しています。

Can they do it? × Will they do it?

Can × Willは、これらの学術的知見に共通する本質を「最大公約数」として整理したものです。

それぞれの知見を組み合わせ、「成果を出せる能力」と「成果を出そうとする意欲」というシンプルな視点から、人的生産力を考えます。

これはNINGEN INDEXによる概念的な整理です。各理論を置き換えたり、その説明のすべてを二つの要因に還元できると主張したりするものではありません。また、これらの理論がNINGEN INDEXの配点や個別得点を直接裏付けるものではありません。

5. 得点の読み方

総合点で全体を捉える。

総合点は、3つの評価軸を合計した100点満点の得点です。有価証券報告書における人的資本開示を、評価項目に沿って把握する入口になります。

3軸と16項目で、開示の特徴を見る。

同じ総合点でも、詳しく説明されている領域は企業ごとに異なります。どの領域に根拠が示され、どこに説明を補う余地があるかを、内訳から確認できます。

「全体の特徴」で、数値の背景を読む。

企業ごとの取り組みと開示上の限界を文章で紹介しています。得点と合わせて読むことで、その企業の説明をより具体的に捉えられます。

0点を「何もしていない」と読まない。

0点は、該当する評価項目の根拠を有価証券報告書で確認できなかったことなどを示します。施策の未実施や、従業員の能力・意欲がないことを意味しません。

資料の抽出・読み取りに失敗したものや、確認が必要なものを、未開示の0点として扱うこともありません。

比較するときは、対象年度や開示の対象範囲の違いにも目を向けてください。

6. 評価対象と免責文

本評価は、EDINETに提出された有価証券報告書に記載された情報のみを対象としています。

企業が実際に実施している人事施策や人的資本の実力そのものを評価するものではありません。

有価証券報告書に記載が確認できない事項は、実際の実施状況にかかわらず加点していません。

本評価は、投資価値や法令適合性を認定するものではありません。

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